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有機化学反応におけるポテンシャルエネルギー曲面上の分岐とValley-Ridge Inflection点:理論的背景から酵素反応まで
Daniel H. EssとK. N. Houkらによる2008年の先駆的総説を出発点とし、Valley-Ridge Inflection (VRI) 点の数学的定義、Ambimodal遷移状態、そしてテルペン生合成や酵素反応(SpnF)における最新の動的選択性の研究成果までを包括的に解説する。
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14 minutes
Pummerer型転位反応におけるPost-Transition State Bifurcationと溶媒依存的な動的選択性:詳細解説
Stephanie R. Hare, Da Ang Li, Dean J. Tantilloらによる2018年の論文『Post-transition state bifurcations induce dynamical detours in Pummerer-like reactions』(Chem. Sci., 2018, 9, 8937) を基に、有機反応における動的選択性、Ambimodal遷移状態、および溶媒効果による選択性制御の可能性について、数理的・物理化学的視点から詳細に解説する。
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18 minutes
Ab Initio計算による固有反応座標(IRC)の数値的導出:Ishida-Morokuma-Komornicki法のアルゴリズムと応用
1977年、石田和弘、諸熊奎治、Andrew Komornickiによって発表された論文 'The intrinsic reaction coordinate. An ab initio calculation for HNC -> HCN and H- + CH4 -> CH4 + H-' (J. Chem. Phys. 1977, 66, 2153) は、福井謙一によって定義されたIRCを、非経験的分子軌道法(ab initio MO法)の枠組みで実用的に計算するための数値アルゴリズムを初めて確立した画期的な研究である。本稿では、その数値解法の詳細、解析的エネルギー勾配法の導入、そしてモデル反応への適用結果について、当時の計算化学的背景と共に包括的に解説する。
3433 words
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17 minutes
反応経路追跡の幾何学的革新:Gonzalez-Schlegel (GS) 法によるIRC計算のロバスト化と高効率化
1989年、Carlos GonzalezとH. Bernhard Schlegelによって発表された論文 'An improved algorithm for reaction path following' (J. Chem. Phys. 1989, 90, 2154) は、IRC計算において「円弧近似」と「ピボット点を用いた制約付き最適化」を導入することで、数値的不安定性を克服した画期的な研究である。本稿では、以前の解説に含まれていた定式化の誤りを修正し、GS法の真の数学的構造、すなわち円弧上でのエネルギー最小化プロセスとその2次精度性について、原著論文に基づき厳密に解説する。
2834 words
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14 minutes
HPC法におけるヘシアン更新スキームの導入:反応経路追跡の効率化とBofill更新式の有効性評価
HratchianとSchlegelによって提案された、ヘシアン更新法を組み込んだHPC(Hessian-based Predictor-Corrector)法による固有反応座標(IRC)計算の包括的解説。本稿では、局所二次近似(LQA)とBulirsch-Stoer積分法を組み合わせたHPC法の数理的構造、およびMurtagh-Sargent、Powell-Symmetric-Broyden、Bofillの各更新スキームの比較評価、計算コスト削減効果について詳述する。
2992 words
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15 minutes
反応経路探索のロバスト化:Page-McIverによる『局所二次近似 (LQA) 法』の数理と実装
1988年、Michael PageとJames W. McIver Jr.によって発表された論文 'On evaluating the reaction path Hamiltonian' (J. Chem. Phys. 1988, 88, 922) は、固有反応座標 (IRC) の計算において、ポテンシャルエネルギー曲面の局所的な二次近似 (LQA) を利用する高精度かつ安定な数値解法を提案した。本稿では、LQA法の数学的導出、硬い微分方程式に対する安定性解析、および反応経路ハミルトニアン (RPH) との関連について、原著論文の記述に基づき詳細に解説する。
2891 words
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14 minutes
解析的ヘシアンなしでの反応経路追跡:Sun-Ruedenbergによる二次最急降下法 (QSD) の実用アルゴリズム
1993年、Jun-Qiang SunとKlaus Ruedenbergによって発表された論文 'Quadratic steepest descent on potential energy surfaces. II. Reaction path following without analytic Hessians' (J. Chem. Phys. 1993, 99, 5269) は、LQA法を改良したQSD法において、計算コストの高い解析的ヘシアンを回避しつつ高精度を維持する数値アルゴリズムを確立した。本稿では、ヘシアン更新法を用いた具体的な計算手順、再生(Regeneration)戦略、およびその数理的背景について詳細に解説する。
2508 words
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13 minutes
ポテンシャルエネルギー局面上の2次最急降下法:局所二次近似 (LQA) におけるSun-Ruedenberg法の定式化と定量的評価
1993年、Jun-Qiang SunとKlaus Ruedenbergによって提案された、ポテンシャルエネルギー局面(PES)上の最急降下経路(IRC)を決定するための新規2次アルゴリズムの包括的解説。本稿では、局所的な二次Taylor展開に基づく厳密な最急降下線の接続手法、および展開中心点(Expansion Center)、接続点(Junction Point)、予測点(Predicted Point)の3点を区別することによる精度向上の数学的基盤について詳述する。
6179 words
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31 minutes
補足資料:LQA法を取り巻く重要文献とその系譜 —— 理論的起源から現代の実装まで
Page-McIverによるLQA法の理解を深めるための拡張参考文献リスト。LQAの数学的基礎となったPechukasの理論から、LQAを改良したSun-Ruedenberg法、そして現代の標準的なIRC解法であるHPC法(Hratchian-Schlegel)に至るまでの発展の歴史を体系的に整理する。
1310 words
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7 minutes
Freezing String Method (FSM) と Hessian-Free TS Search の理論的展開:高効率反応経路探索へのアプローチ
Behn, Zimmerman, Bell, Head-Gordonらによって提唱されたFreezing String Method (FSM) およびそれに関連するHessian-Free遷移状態探索法について、その数理的背景、アルゴリズムの詳細、および表面反応系への適用事例を包括的に解説する。従来のNudged Elastic Band (NEB) 法との比較を通じ、計算コスト削減のメカニズムと学術的意義を深堀りする。
5463 words
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27 minutes
Cerjan-Miller法による遷移状態探索:Hessianを用いたポテンシャル曲面の局所二次近似と『上り坂』探索アルゴリズムの数理
C. J. Cerjan と W. H. Miller による1981年の記念碑的論文 (J. Chem. Phys. 75, 2800) を基に、ポテンシャルエネルギー曲面上で極小点から遷移状態(鞍点)を探索するためのアルゴリズムについて詳説する。Lagrange未定乗数法を用いたステップ制御の導出、信頼半径(Trust Radius)の概念、および現代の計算化学におけるRational Function Optimization (RFO) への系譜を、数理的背景と共に論じる。
4982 words
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25 minutes
Growing String Method (GSM) の発展と統合的アプローチ:反応経路および遷移状態探索の理論と応用
Paul M. ZimmermanらによるGrowing String Method (GSM) の理論的枠組み、特に正確な遷移状態探索を統合した2013年の手法と、表面反応系へ拡張された2017年のハイブリッド座標系実装について、数理的背景とアルゴリズムの観点から包括的に解説する。
3351 words
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17 minutes
反応経路のセンターラインを求めて:福井謙一による『固有反応座標 (IRC)』の定式化とその数理的背景
1970年、福井謙一によって発表された論文 'A Formulation of the Reaction Coordinate' (J. Phys. Chem. 1970, 74, 4161-4163) は、それまで概念的であった「反応座標」に対し、変分原理に基づく厳密な数学的定義を与えた。本稿では、この「固有反応座標 (IRC)」の導出過程、等ポテンシャル面との直交性、およびWoodward-Hoffmann則との理論的整合性について、原著論文の記述に基づき詳細に解説する。
3676 words
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18 minutes
化学反応系の微分幾何学:Tachibana-Fukuiによる『Meta-IRC』と拡張ヘシアンの定式化
1978年、立花明知と福井謙一によって発表された論文 'Differential Geometry of Chemically Reacting Systems' (Theor. Chim. Acta 1978, 49, 321-347) は、反応経路の理論にリーマン幾何学を導入し、座標変換に対して不変な『Meta-IRC』および『拡張ヘシアン』の概念を確立した。本稿では、一般曲線座標系における反応経路の厳密な記述、ポテンシャル曲面のトポロジー解析、そして反応のパターン認識に至るまでの数理的枠組みを詳細に解説する。
4440 words
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22 minutes
射影勾配法による最急降下経路の探索:Ulitsky-Elber法の数理的定式化とタンパク質立体構造探索への応用
Alexander UlitskyとRon Elberによる1990年の先駆的研究(J. Chem. Phys. 92, 1510)に基づく最急降下経路(SDP)探索の数学的定式化と、その発展形を用いたChung F. Wongによる2015年のタンパク質キナーゼ創薬への応用(Protein Sci. 25, 192)について、理論的背景、アルゴリズムの実装詳細、および実証結果を包括的に解説する。
3456 words
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17 minutes
Müller-Brownポテンシャルと制約付きシンプレックス最適化法:数理的背景とアルゴリズムの詳細解説
Klaus MüllerとLeo D. Brownによる1979年の論文『Location of Saddle Points and Minimum Energy Paths by a Constrained Simplex Optimization Procedure』(Theoret. Chim. Acta, 1979, 53, 75-93) を基に、計算化学におけるベンチマークとして著名なMüller-Brownポテンシャルの定義、および勾配計算を必要としない鞍点探索・最小エネルギー経路(MEP)探索アルゴリズムについて、その数学的定式化と歴史的背景を詳細にレビューする。
3680 words
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18 minutes