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【Logic】伝統に訴える論証の解説
最終更新:2026-01-15
概要
伝統に訴える論証(でんとうにうったえるロンしょう、Argumentum ad Antiquitatem)は、ある事象が「長い間行われてきた」「伝統的である」という事実のみをもって、それが正しい、あるいは優れていると主張する誤謬である。
過去、長期間にわたってXが行われてきた。 ∴ Xは現在においても正しい(または維持されるべき)である。
歴史的事実はその手法の「継続性」を証明するが、現代における「妥当性」や「効率性」を保証するものではない。
例と不適切な理由
例1:旧来の実験手法
「この解析手法は、当研究室で30年前から代々受け継がれてきたものだ。最新のアルゴリズムよりも、この伝統的な手順に従うのが最も信頼できる」。
不適切な理由:30年前の基準では最適であったとしても、現在の計算機能力や統計学の進展によって、より精度が高くエラーの少ない手法が登場している可能性がある。
例2:組織の慣習
「我が社では創業以来、この形式で報告書を作成している。デジタル化や効率化の提案は、我々の伝統を損なうものだ」。
不適切な理由:慣習の維持そのものが目的化しており、業務の目的である「情報の正確な伝達」や「生産性の向上」が軽視されている。
対処法
- 目的の再定義:その行為の本来の目的(例:データの精度、業務効率)を確認し、伝統がそれに寄与しているかを定量的に評価する。
- 状況の変化を指摘する:その伝統が始まった当初と現在の環境(技術、法規制、リソース)を比較し、前提条件が変わっていないかを確認する。
補足:論証における注意書き
上記の事例は、いずれも形式論理的な「誤謬」を説明するためのモデルケースです。現実の事象においては、伝統の維持が合理的な判断である場合や、個別の事情が正当な例外として認められる場合も存在します。重要なのは、その主張が「客観的な証拠」に基づいているか、それとも「論理をバイパスするためのレトリック」として使われているかを見極めることです。
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