最終更新:2026-01-15
概要
衆人に訴える論証(しゅうじんにうったえるロンしょう、Argumentum Ad Populum)は、多数の人が支持している、あるいは行っているという事実をもって、その主張が真である(正しい・優れている)と結論付ける誤謬である。「バンドワゴン効果」とも関連が深い。
多くの人がXを支持している。 ∴ Xは正しい。
かつて天動説が大多数に信じられていたように、多数派の意見が客観的事実と一致する保証はない。
例と間違っている理由
例1:ベストセラー本
「この健康法を書いた本は300万部も売れている。だからこの内容は医学的に正しいに違いない。」
間違っている理由:売上部数は「人気」や「マーケティングの成功」を示す指標であって、内容の「真偽」を示す指標ではない。多くの人が間違った情報を信じて購入した可能性もある。
例2:システム導入
「他社はみんなA社のクラウドを使っています。だから我々もA社にすべきです。」
間違っている理由:他社の選択理由が自社の要件と合致するとは限らない。単なる流行(思考停止)で選ばれている可能性があり、自社にとってはB社の方が合理的かもしれないという検討が欠落している。
例3:校則や慣習
「みんな制服をちゃんと着ているんだから、お前も文句を言わずに着ろ。」
間違っている理由:「みんなが従っている」ことは「従うべき正当な理由がある」ことの証明にはならない。単に同調圧力に従っているだけかもしれない。ルールの是非そのものを論じる必要がある。
対処法
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人気と正しさの分離 「流行っていることと、それが優れていることは別の話です」と切り分ける。
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歴史的な反例を出す 「昔は誰もが地球は平らだと思っていましたが、それは間違いでしたよね」と、多数派が常に正しいわけではない例を示す。
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理由を問う 「みんなが選んでいる理由は何ですか?」と聞き、具体的なメリット(機能、価格など)に話を移す。