最終更新:2026-01-15
概要
**合成の誤謬(Fallacy of Composition)**は、「部分」について真であることが、「全体」についても真であると誤って推論すること。 **分解の誤謬(Fallacy of Division)**は、逆に「全体」について真であることが、「部分」についても真であると誤って推論すること。
これらは、システムや組織、経済現象を語る際によく見られる。
合成:Aさんが節約すれば金が貯まる。∴ 全員が節約すれば国全体が金持ちになる(実際は不況になる)。 分解:この会社は超一流だ。∴ この会社の社員である彼も超一流に違いない。
例と間違っている理由
例1:スタジアムの観戦(合成の誤謬)
「前の人が立って応援すればよく見える。だから観客全員が立てば、全員がよく見えるはずだ。」
間違っている理由:一人だけ立つ(部分)なら有利になるが、全員が立つ(全体)と、後ろの人は見えなくなり、結局全員が座っている時と同じか、疲れる分だけ損をする。個人の最適解が全体の最適解にならない典型例。
例2:プロジェクトの遅延(合成の誤謬)
「このタスクは1日で終わる。あのタスクも1日だ。全100タスクあるから、100日でプロジェクトは終わる。」
間違っている理由:個々のタスク(部分)の見積もりが正しくても、全体を統合する際の調整コスト、待ち時間、予期せぬトラブルなどが加わるため、単純な足し算(全体)では終わらない。
例3:優秀なチーム(分解の誤謬)
「あのチームは今期最高の売上を叩き出した最強チームだ。だから、あのチームにいる新人A君も極めて優秀な営業マンなのだろう。」
間違っている理由:チーム全体の成果(全体)が優れていても、その要因が特定のスタープレイヤーによるもので、A君(部分)は足を引っ張っていた可能性もある。組織の属性を個人の属性に無条件で適用することはできない。
対処法
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スケール(規模)による質の変化を疑う 「量が集まることで質的な変化(相互作用、混雑、競争)が起きないか?」を検討する。
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「創発」を考慮する 全体は部分の総和以上(または以下)になるというシステム論的な視点を持つ。
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平均値と個別の値を区別する 「日本人は平均寿命が長い」からといって「目の前の日本人が長生きする」とは限らない。