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【Logic】対人論証の解説

最終更新:2026-01-15

概要#

対人論証(たいじんロンしょう、Ad Hominem)は、相手の主張そのものではなく、主張している人物の人格、経歴、属性、または動機を攻撃することによって、その主張を否定しようとする論理的誤謬である。

人物Aが主張Pをした。 人物Aには悪い属性(性格、過去の過ち、地位など)がある。 ∴ 主張Pは間違いである。

発言者がどのような人物であれ、事実や論理の正しさは変わらない(例:犯罪者が「2+2=4」と言っても、それは正しい)ため、この論法は無効である。


例と間違っている理由#

例1:喫煙者の健康アドバイス#

医師:「喫煙は肺がんのリスクを高めるのでやめるべきです。」 患者:「先生だって吸ってるじゃないですか。そのアドバイスは無意味です。」

間違っている理由:医師が喫煙しているという事実(「お前だって論法」と呼ばれる亜種)は、喫煙と肺がんの因果関係という医学的事実を否定するものではない。医師の行動の矛盾は指摘できても、医学的な主張の正誤は別問題である。

例2:若手の提案#

新入社員:「この業務プロセスは自動化できると思います。」 上司:「君はまだ社会人経験が浅いから、何も分かっていない。その案はダメだ。」

間違っている理由:経験の浅さは、提案された自動化ロジックの正しさを否定する根拠にはならない。アイデアそのものの実現可能性や効率性を評価すべきである。

例3:過去の失敗#

「彼の経済政策の提言は聞く価値がない。彼は10年前に離婚訴訟で泥沼化した人間だぞ。」

間違っている理由:私生活上のトラブル(離婚)と、経済政策の専門知識や妥当性には論理的な関連性がない。人格攻撃によって議論の焦点をずらしているに過ぎない。


対処法#

  1. 発言と発言者を切り離す 「誰が言ったか」ではなく「何を言ったか」に集中する。

  2. 相関の欠如を指摘する 「私の性格や過去と、この議論の正しさに何の関係がありますか?」と冷静に問い返す。

  3. 侮辱と反論を区別する 単なる悪口(侮辱)と、論理的な反論としての対人論証(誤謬)を混同しないようにするが、どちらも建設的な議論には不要である。

【Logic】対人論証の解説
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Author
ss0832
Published at
2026-01-15
License
CC BY-NC-SA 4.0