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【Logic】完璧主義の誤謬の解説
最終更新:2026-01-15
概要
完璧主義の誤謬(かんぺきしゅぎのごびゅう、Nirvana Fallacy / Perfect Solution Fallacy)は、現実的な解決案を、存在しない「完璧な理想(ニルヴァーナ)」と比較し、完璧でないことを理由にその案を無価値、あるいは採用に値しないと切り捨てる誤謬である。
解決策Aには、まだ欠点がある。 理想的な解決策Zは、すべての問題を解決する。 ∴ Aを採用すべきではない(現状維持でよい)。
例と不適切な理由
例1:セキュリティ対策
「このウイルス対策ソフトを導入しても、100%すべてのサイバー攻撃を防げるわけではない。したがって、こんなものにお金を払って導入する意味はない。」
- 不適切な理由:リスクを「ゼロ」にできないからといって、「軽減」することの価値まで否定している。現実的には、100点か0点かではなく、現状の10点を50点に引き上げることの有効性を評価すべきである。
例2:科学的データの不備
「あなたの実験モデルは、実世界のすべての変数を網羅できていない。したがって、このモデルから得られた結論は完全に無意味だ。」
- 不適切な理由:モデルとは本質的に現実の簡略化である。すべての変数を網羅する「完璧なモデル」は現実には存在し得ない。重要なのは、その不備が結論を左右するほど致命的か、あるいは従来よりも改善されているかという点である。
対処法
- 比較対象の適正化:案Aを「完璧な理想」と比較するのではなく、「現状(何もしない場合)」や「他の現実的な案B」と比較する。
- 段階的改善の許容:一歩でも前進することを「善」とし、改善の余地があることと、その案が有害であることは別問題だと認識する。
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