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【Logic】見えざるスコットランド人の解説

最終更新:2026-01-15

概要#

見えざるスコットランド人(No True Scotsman)は、ある普遍的な主張に対し、相手が「反例」を提示した際、定義を勝手に修正(再定義)してその反例を除外することで、元の主張を無理やり維持しようとする誤謬である。

A:「スコットランド人はおかゆに砂糖を入れない」 B:「私の叔父はスコットランド人だが、砂糖を入れるよ」 A:「いや、“真の”スコットランド人なら砂糖は入れないんだ」

Bの反例によってAの主張は反証されたはずだが、Aは「真の(True)」という修飾語を後付けすることで、反例をグループ外へ追い出している。これは「アドホック(その場しのぎ)な仮説」の一種である。


例と間違っている理由#

例1:日本人のマナー#

A:「日本人は礼儀正しいから、道端にゴミを捨てたりしない。」 B:「でも、昨日渋谷でポイ捨てしている日本人を見たよ。」 A:「それは本来の日本人の精神を持っていない人間だ。真の日本人ではない。」

間違っている理由:国籍や民族としての「日本人」の話をしているはずが、反例が出た途端に「礼儀正しい人」という道徳的な定義にすり替えている。これでは「礼儀正しい日本人は礼儀正しい」という同義反復になり、議論が無意味化する。

例2:プログラマーの定義#

A:「プログラマーなら、Vimエディタを使いこなせて当然だ。」 B:「私はVS Codeしか使いませんが、プログラマーとして働いています。」 A:「マウスを使っているようじゃ、本物のプログラマーとは呼べないね。」

間違っている理由:プログラマーの定義(職業としてコードを書く人)に、個人的なこだわり(ツールの選定)を勝手に追加して相手を排除している(ゲートキーピング)。

例3:ファンの資格#

A:「本当にこのバンドが好きなら、全アルバムを持っているはずだ。」 B:「ファンだけど、ストリーミングでしか聴いてないよ。」 A:「金を使わない奴はファンじゃない。」

間違っている理由:ファンの定義は主観的だが、自分の基準(購買行動)を満たさない相手の属性を一方的に剥奪することで、優越感を保とうとしている。


対処法#

  1. 定義の変更を指摘する 「最初は『スコットランド人』と言いましたよね? 今、『砂糖を入れない人』に定義を変えましたね?」と指摘する。

  2. トートロジー化を防ぐ 「その理屈だと、反例は永久に存在しないことになりますが、それは反証不可能な主張(信仰)になっていませんか?」と問う。

【Logic】見えざるスコットランド人の解説
https://ss0832.github.io/posts/20260115_notruescotsman/
Author
ss0832
Published at
2026-01-15
License
CC BY-NC-SA 4.0