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【Logic】藁人形論法の解説

最終更新:2026-01-15

概要#

藁人形論法(わらにんぎょうろんぽう、Straw Man Argument)は、相手の実際の主張を反論しやすいように歪めたり、極端化したりして作り変え(=藁人形を作り)、その歪められた主張を攻撃することで、元の主張を論破したかのように見せかける論理的誤謬である。

A氏の主張:Xである。 B氏の反応:A氏はY(Xを歪めたもの)と言っているが、Yは間違いだ。 結論:したがって、A氏の主張は間違いだ。

この論法は、議論の噛み合わせを意図的にずらすものであり、知的誠実さを欠く行為とされる。


例と間違っている理由#

例1:予算配分#

A氏:「教育予算を増やすべきだ。」 B氏:「A氏は、防衛費をゼロにして国を危険に晒せと言うのか。それは無責任だ。」

間違っている理由:A氏は教育予算の増額を提案しただけであり、防衛費の全廃や安全保障の軽視を主張してはいない。B氏は極端な仮想敵(藁人形)を作り出し、それを攻撃している。

例2:プログラミング言語の選定#

エンジニアA:「このプロジェクトにはPythonを採用するのが良いと思う。」 エンジニアB:「Aさんは実行速度やパフォーマンスを全く気にしていない。遅いシステムを作るつもりか。」

間違っている理由:Pythonの採用を提案することが、即ちパフォーマンスの無視を意味するわけではない。開発効率やライブラリの充実度など他のメリットを考慮している可能性を無視し、「速度軽視」という攻撃しやすい点に論点をすり替えている。

例3:緩和ケア#

医師:「この患者には、これ以上の積極的な延命治療よりも緩和ケアを優先すべきです。」 家族:「先生は、患者を見殺しにしろと言うのですか。」

間違っている理由:緩和ケアへの移行は「見殺し(放置)」ではなく、苦痛の除去を目的とした医療行為である。医師の提案を「見殺し」という非人道的な主張に変換して非難している。


対処法#

  1. 相手の主張を正確に復唱する 「あなたの主張は、○○という意味で合っていますか?」と確認し、歪曲を防ぐ(これを「慈善の原理」と呼ぶ)。

  2. 歪みを指摘する 「私はYとは言っていません。Xと言っています」と、論点がずらされた事実を冷静に指摘し、元の主張に引き戻す。

  3. 極端な例に付き合わない 相手が極論を持ち出してきた場合、それが本来の議論の範囲外であることを明示する。

【Logic】藁人形論法の解説
https://ss0832.github.io/posts/20260115_straw_man/
Author
ss0832
Published at
2026-01-15
License
CC BY-NC-SA 4.0