最終更新:2026-01-15
概要
生存者バイアス(せいぞんしゃバイアス、Survivorship Bias)は、何らかの選別プロセスを通過して生き残った(成功した)対象のみを分析し、途中で脱落した(失敗した)対象を無視することで、誤った結論を導き出す論理的・統計的誤謬である。
成功したAはXという特徴を持っていた。 脱落したBのデータは存在しない(見えない)。 ∴ Xが成功の要因である。
有名な例として、第二次世界大戦中の爆撃機の装甲強化がある。帰還した機体の被弾箇所(翼や胴体)を強化しようとしたが、実際には「撃墜された機体(帰還しなかった機体)」が被弾していた箇所(エンジンやコクピット)こそ強化すべきだった。
例と間違っている理由
例1:成功者の習慣
「大学を中退して起業したビル・ゲイツやマーク・ザッカーバーグを見ろ。大学なんて役に立たないから辞めて起業すべきだ。」
間違っている理由:大学を中退して起業し、失敗して借金を抱えた無数の人々(脱落者)の存在が無視されている。成功者だけを見て「中退=成功」と結びつけるのは危険である。
例2:昔の製品の品質
「50年前の冷蔵庫がまだ動いている。昔の製品は今より頑丈で優れていたんだ。」
間違っている理由:50年前に作られた製品の大多数はすでに故障して廃棄されている(生存していない)。今残っているのは「たまたま非常に運良く壊れなかった個体」だけであり、当時の製品全体の品質が高いことの証明にはならない。
例3:研究室でのメソッド
「この実験手法でNatureに論文が通った例が3つもある。だからこの手法は絶対だ。」
間違っている理由:その手法を使って失敗し、お蔵入りになった(Publication Biasにより世に出なかった)数百の実験データが見えていない。偶然うまくいったケースだけが「生存者」として可視化されている可能性がある。
対処法
-
「死体」を探す 「失敗したケースはどうなったのか?」「ここに来られなかった人たちはどういう特徴を持っていたのか?」と、見えない敗者に思いを馳せる。
-
分母を意識する 成功例(分子)だけでなく、挑戦した全体数(分母)を確認する。
-
逆を考える 「同じことをして失敗した人はいないか?」と問いかける。