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【Logic】テキサスの狙撃兵の解説

最終更新:2026-01-15

概要#

テキサスの狙撃兵(Texas Sharpshooter Fallacy)は、大量のデータの中から偶然生じた「密度の高い部分(クラスター)」だけを後付けで選び出し、そこに何らかの規則性や因果関係があると主張する誤謬である。

由来:納屋の壁に適当に銃を撃ち、弾痕が最も集まっている場所を中心に後から「的(マト)」を描くことで、自分を腕利きの狙撃手に見せかけた男のジョーク。

ランダムなデータ群がある。 一部に偏り(クラスター)が見つかる。 その偏りだけを切り取り「意味がある」と主張する。


例と間違っている理由#

例1:疫学調査(がんクラスター)#

「この地域の特定の区画だけ、他よりもがんの発生率が高い。近くの工場のせいに違いない。」

間違っている理由:広範囲を調査すれば、ランダムな分布であっても偶然発生率が高くなる箇所(ホットスポット)は必ず生じる。最初からその地域を疑っていたのではなく、データを見た後に範囲を限定して相関を見出すのは統計的に不適切である。

例2:予言や占い#

「ノストラダムスの予言詩のこの部分と、現代のこの事件は完全に一致している。彼は未来が見えていたのだ。」

間違っている理由:膨大な詩(データ)の中から、たまたま現代の事件と解釈できそうな部分だけを抜き出して(的を描いて)結びつけている。外れた何千もの予言は無視されている。

例3:顧客分析#

「成功した起業家のデータを分析したら、全員が朝食にコーヒーを飲んでいた。コーヒーは成功の秘訣だ。」

間違っている理由:成功した人という偏ったグループの中から、共通項を無理やり探しているだけである。失敗した起業家もコーヒーを飲んでいる可能性(対照群)を無視している。


対処法#

  1. 仮説を先に立てる(事前登録) データを見る前に「工場周辺3km以内で発生率が高いはずだ」と予測し、その通りになるか検証する。後付けの解釈を避ける。

  2. 分母全体を見る 「当たった数」だけでなく「外れた数」や「関係なかったデータ」も含めて全体像を評価する。

  3. ランダム性を理解する 人間はランダムなノイズの中にパターンを見出してしまう(アポフェニア)傾向があることを自覚する。

【Logic】テキサスの狙撃兵の解説
https://ss0832.github.io/posts/20260115_texassharpshooterfallacy/
Author
ss0832
Published at
2026-01-15
License
CC BY-NC-SA 4.0