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【Logic】動機論法の解説
最終更新:2026-01-23
概要
動機論法(どうきろんぽう、Circumstantial Ad Hominem)は、対人論証の一種であり、主張の内容そのものではなく、発言者がその主張を行うことによって利益を得る立場にある、あるいは特定の状況(Circumstances)に置かれていることを理由に、その主張が偽である、あるいは偏っていると断定する論理的誤謬である。
例と不適切な理由
例1:営業提案の拒絶
「当社の製品Aを導入すれば、御社の運用コストを年間15%削減できるというデータが出ています」という営業担当者に対し、「君はコミッション(手数料)が欲しいからそう言っているだけだ。したがって、その提案には価値がない」と反論する。
不適切な理由:営業担当者が契約によって利益を得るという事実(動機)と、提示されたコスト削減データの真偽は論理的に独立している。利益誘導の意図があるとしても、製品の仕様や数値的根拠が誤りである証明にはならない。
例2:政策議論と属性
「研究開発費への減税措置は、長期的には国益にかなう」という企業経営者の主張に対し、「あなたは自分の会社の税金を減らしたいだけだ。よって、その経済予測は信用できない」と却下する。
不適切な理由:発言者の社会的地位や経済的メリットは、主張された経済効果の因果関係を否定する根拠にはなり得ない。ポジショントークである可能性があったとしても、議論の妥当性は経済学的モデルや実証データに基づいて検証される必要がある。
対処法
- 属性と論理の分離:発言者の「意図(Why)」と主張の「内容(What)」を明確に区別し、評価対象を後者に限定する。
- 客観的証拠への着目:相手の動機を推測・攻撃するのではなく、提示されたデータや論拠に対する具体的な反証を要求する。